『私』だけを見て欲しい
「…はい、集めてきましたよ!参加者!」
自分の下に書かれた名前。
全部で5名。しかも、全員女子。
「ありがとう!こんなに沢山の人、集めてくれて…」
目標の10名まで過半数超えた。
(ラッキー!ここに来て良かった!)
「金井ちゃんサンキュー!またね!」
部屋を出て行こうとする。そんな私を『れんや』が呼び止めた。
「あっ、ちょっと!さく…た…さん⁉︎ 」
「なぁに?」
振り返る。
スーツ着崩した『れんや』は、私に近寄ってきた。
「参加者増やしたお礼は?」
「はっ⁉︎ 」
「何もないの⁉︎ 」
試すように聞く。
「そんなの…ある訳ないじゃない…」
今までそんな事、言ってきた人、誰もいないのに…。
「ふぅん…なんだ。…だったら集めなきゃ良かった…」
拗ねてる。まるで子供だ。
(何者…こいつ…)
「お礼してもいいけど…何したらいい⁉︎ 」
思いつかないから聞き返した。
『れんや』は、うーん…と天井を仰いで、じゃあ…と小さく声を漏らした。
「パーティーの日、俺の彼女ってことで、皆に紹介してもいい⁉︎ 」
「えっ⁉︎ なんで…」
「頼むよ!秘書課のお局さんたちがうるさくて困ってるんだ!…1日だけ!その日だけでいいから!」
変なこと頼んでくる。
「…あのね、引き受けてやってもいいけど…多分、すぐに嘘だってバレるよ」
お気の毒だな…と思いつつ断った。