そのままの君でいて
ジョーと過ごす時間
6月…梅雨のあいまの、晴天らしい。

生温い風が 夏の来るのを予感させる。

クラブを出て二人は、六本木の街をブラブラしながら、僚介の診療所に向かった。


「ネェ、ジョー?」
「ん?ワッツ?」

愛恵は先程の岡村の話を 康介に相談する前に ジョーに話すのを、我慢出来なかった…

きっと ジョーも 喜ぶに違いない。

「さっきクラブで、オーナーから、アナタにDJをしてもらえないかって…聞かれた」

ジョーの歩みが止まる。
「…今なんて?」

ジョーは帽子で隠れている愛恵の顔を 斜め下から覗き込んできた。

一瞬、愛恵は 驚きでのけ反る。

その瞬間に、後方に体が傾きかけた。

ジョーは 愛恵の腰に左手を回し、右手で 彼女の右腕辺りを 支えた。
「キャッ!」
「アウチっ。だいじょぶ。ソーリぃ。」

「だいじょぶだいじょぶ。ハハッ」

愛恵はジョーの腕の中から、体を出す…

思ったより、しっかりした 体つきなんだ とか…
やっぱり 男の人なんだ とか…

彼女は 自分がドキドキして 不自然になっていないか、 平静を装うのに 大変だった…

ジョーの返事を 聞くどころではなかった。

また、2人は歩き出した。

「で、…どう?」

「…愛恵さん…頼んだ?」

さっきから、喜びだけの雰囲気じゃないのは そのせいかと… 愛恵は気付いた。

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