そのままの君でいて
夜 9時

「ごめんごめん!ごはん食べた?」

愛恵は撮影の遅れで、待ち合わせの時間より 2時間も遅れて、待ち合わせのレストランに入ってきた。

「もう食べた。てかたべまくった~」

「アタシもお腹空いたぁ…」

愛恵は 海老とアボガドのサラダと 塩味のパスタを頼む。


「2人とも、ビールかぁ…」
「暑いんだもーん」

愛恵はソムリエを呼ぶと、ワインを頼んだ。


特に ワイン通ではないのだが…

たまに 飲みたくなる。

「白で、オススメを何かもって来て」


愛恵のワインが 注がれる。

3人は改めて 乾杯をした。


「ありがとう。愛恵さん。昨日の話。ボク頑張るよ」

「明日、あのクラブに9時に行ってね。オーナーには電話入れておいたから…これから頑張って!」

「わかりました!だいじょぶ。本当にありがとう。愛恵さんもドクターも…助けてもらってばかり…」


「オレはなんもしてねーよ」
康介は、あくびをした…。

「眠いの?」
愛恵は、康介の顔を見る。

「ん…少しなぁ…レポートが終わらん…あと少ししたらオレ先でるわ」


康介は、ジョーと楽しそうに会話する愛恵を…

ずっと見ているのは…
少し辛かった。


康介はタバコを吸いたくて、
「カウンター行って来る」


カウンターに座り直すと「ターキーの12年ロック」

タバコに火をつける。
「どうぞ」

バーテンは彼の頼んだ物とチェイサー、ナッツを用意した。


「ふぅ…」

後方からは 2人の笑い声。

「火を貸して貰えますか」

隣の女に 康介は

「どうぞ」

わき目もふらず、ライターだけ貸した。


1960年代のプレミアのついた、ZIPPO。

一番 長く付き合った彼女からのプレゼント。 別れた今も大切に使っている。
「ありがとう」
隣の女は、一本吸い終わると。
「長谷川センセー。相変わらず女子に興味なしか」と 彼を見た。
「優…。おわっ…」
「なに~?変なモン見たみたいな態度は」
「ライター今もまだ生きてるんだ…」
優は先程のライターを手に取ると 蓋を カチャカチャ開け閉めした…
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