そのままの君でいて
「はい、たばこ」

「ありがとー!!」

優は、フィルムをめくりながら、

「いつまで、居るの?」

「・・・ずっと、なるべく長く居たい、分からないけど」

「日本が好きなの?」

「好きだよ。皆、親切だし、何でもあるし…」

優は、ジョーを純粋なのか、馬鹿なのか・・・

「親切じゃないわよ。日本なんて最低の国だわ」

彼女は、この裕福で、平和ボケした今の日本に飽き飽きして、海外へ出た口だ。

「優さんは、日本きらい?」
ジョーは笑顔で聞く。

「…あまり」
「自分の母国愛せないのは、悲しい事だとおもう。ぼくはアメリカもスキだよ」

康介は
「日本人で今の日本愛してる奴なんか、すくねーだろうなぁ。オレも…すきじゃねーわ」

そう言って苦笑いする。

「ドクターも?」

ジョーはとても 悲しい顔をした…


老人の孤独死。我が子 両親を殺害する。子供が子供を平気で殺す。

増え続ける 鬱に自殺…

日本は、いつから こうなってしまったのか…

「まあ。オレらがぐだぐだいっても変わらん」


「で、オマエなにをしに…?」

「ちょっと…」
「なに?」

優は康介に耳打ちした…
指輪をなくしたらしい。
ここに泊まった時になくしたかもわからなかったが 一応来てみたらしい。

康介は
「二階の部屋にたくさん本あるから適当に探せよ」


「ありがとう」

優は、2階にあがる。

「あいつカンボジアにいるんだ。たまたま今だけ日本に帰って来てる」

「カンボジア?」


「あぁ。ボランティアで僻地医療に従事している」

「すごいタフだし愛がある…」


「ほんとはな。アイツは素直な奴だよ」

2、30分で 優は戻ってきた。


「あったのか?」

「なかった。しかたないわ」

「そうか。オレも見つけとくよ」

優は、うん と頷いた。

「ドクターボク今日から仕事だから、これから荷物まとめてくる」

< 74 / 136 >

この作品をシェア

pagetop