そのままの君でいて
愛恵は、TVを消した。
ジョーは つけ直す。

消す、愛恵。
つけ直す、ジョー。


「もう!見てるのにっ!」
ジョーが愛恵に真剣な顔で言った。

「見なくていい!」

愛恵もジョーに 真剣に答えた。

その間にも、セックスシーンは続いている。

2人の真剣なやりとりの間に 愛恵の 演技の 喘ぎ声が…


ジョーは、視線をTVに戻した。

もぅいいや…

愛恵は、ビールを一口飲んだ。


セリフもいちいち 官能的に描かれているから ジョーには完全には 解らないだろう…。

セックスシーンは5分ほどだ。

1時間の番組で 約1/3が こんなシーンばかり…


ジョーは、そのシーンを見終えると


「ジェラシーだ…」

「だから見るなっていってるのに~」


「ハァ…」

ジョーは、本気で涙目になっていた…

「ジョー?やだー。泣いてるの~?」

愛恵はジョーの 手を取る。

「つくりモノでしょ。フイクションだから、ね?」

「…分かってるよ。ただ…ヤキモチなだけ…」


愛恵は、一般人と付き合ったのは、僚介だけだった。

僚介は、愛恵がこの業界でメディアに顔を出すようになったころには、海外へ行っていたし、当時はしても キスぐらいの話だった…


それから 何人かと 付き合いはあったが 皆 こちら側の業界の人間だった。


ジョーは、こちら側の人ではない。


「…ごめん。大丈夫」
ジョーは、笑う。

このまま 彼と付き合ってゆくには、

彼はまだ 若すぎて 純粋過ぎる…


愛恵は、好き という気持ちだけで 2人の関係が 続けばいいのに…


それは 簡単ではない…。


愛恵は、ジョーにキスした…。


ジョーも、自分に寄掛かる彼女を 抱き締めると キスに答えた…


「アイシテル…」

「アタシも…アイシテル…」


さっきのドラマは 演技なのだと…

彼に伝わればいいな…

そんな思いで、愛恵はジョーに抱かれた…。
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