無口なDarling+α


_______________________




「はぁ、猛・・・」


抱きしめあった安心感の残る胸元に顔を埋め、精一杯猛のぬくもりを受け止める。



「澄子・・・」


サラっと私の髪を撫でて、猛が私の髪に顔を埋める。



「なぁに?」


「絶対、今しか言えない事言うけどビビんなよ?」


「へ?うん」


猛の心臓の音がすごい早くなってる。


そっと猛の胸に手を当てると、自分と一つになってる気がする。


「・・・」


言うって言ったのになかなか話し出さない猛。


何か悪い事なのだろうか?


でも今までの経験上、そんな雰囲気ではない。


逆に・・・何か嬉しい事を言おうとしてる時かも。



「俺、離れたくねーよ」


一瞬聞き間違いかと思うほど、小さな声で呟く。


でもしっかり私の耳には届いたよ?


「猛・・・離れないよ?」


ギュと抱きしめる腕に力を入れる。



「すっげー・・・この何日間お前の事が頭から離れられなくて」


素肌が触れ合うのがとても心地いい。


猛が喋るたびに温かい息が私の髪を抜けていく。


「会えない日が重なっていく度に、お前の気持ちが離れてく気がした」


そんな、そんな事あるわけないのに!


「猛は?猛は気持ちが離れて行ったの?」


私がそう聞くと、びっくりしたように埋めていた顔を上げた。


「んな訳ねーだろ?そしたらこんな焦って旅行計画したりしねーだろ」


・・・焦ってた??猛が??


全然想像できなくて、思わずプっと笑ってしまった。


< 16 / 97 >

この作品をシェア

pagetop