無口なDarling+α
バカみたいな私。
同棲が決まってから、毎日の様にこんな風に嬉し涙を流して。
その度に、
「・・・っ」
こんな風に抱きしめてもらって。
「っとに、いい加減実感しろって」
ソファーから立った猛がキッチンに入り、私を抱きしめる。
愛しそうに、愛しそうに大事に触れてくれる。
「たけるぅ・・・」
「ん?」
甘えるように猛に手を伸ばす。
「ちょっとやってみたい事があるの」
同棲が決まってから、やってみたい事沢山あったんだ。
嬉し涙が引っ込むと、いつもの私が現れてくる。
「私がこう、野菜を切るのね?」
くるっと向きを変えて、まな板の方を向く。
「そしたら、猛が・・・こう後ろから抱きしめて・・・」
猛の手を腰に引っ張り、無理矢理体制を作る。
「・・・」
猛はめんどくさそうに私の言いなりになっている。
「で、私の肩に顎を乗っけて・・・」
「今日の夕飯、何?だろ・・・」
私が言う前に、猛が口を開いた。
しかも、私が言って欲しかった言葉そのままを口にした。
「これっこれー!」
嬉しさのあまり興奮していると、チュッと耳にキスをされてガバっと抱っこされる。
「キャア!!」
「やっぱ夕飯は後。その前に・・・抱かせろ」
ズンズンとベッドに向かう猛には、もう何を言っても無駄な事を知ってる。
これから毎日、こんな風に楽しい時間を過ごせるんだ。
ねぇ、猛?
これから新しい毎日が始まるね。
強がっちゃう私だけど、これからもずっと愛してね?
【強がり=恋心】
END