無口なDarling+α
謝らろうと洗面所の方へ向かうと、車の鍵を手に持つ猛がいた。
「えっちょっ猛?もう大学行くの?」
朝ご飯も食べてないのに!
「あー」
振り向いてもくれない猛に、胸がズキっと痛む。
「猛、ごめ・・・」
「・・・俺ばっかで最近疲れる」
猛がぼそっと口に出した言葉に一瞬凍りついた。
「疲れ、る?」
働かない頭で言葉をつなぐ。
「・・・お前は最近必死にならないよな」
やっと振り向いてくれた猛は、寂しい顔をしてる。
「必死になってんのは、最近俺ばっかだなってこと」
そう言うと猛はドアノブに手をかけた。
「た、猛まっ・・・」
とりあえずちゃんと話をしたくて、引き止めようと手を伸ばす。
「ね、何言ってるの?猛ばっかって?何?言ってる意味が分からないよ」
「・・・」
すっと私の腕を払い一歩外に出た猛の一言は、
「お前は俺と一緒にいる時間なんかいらないんじゃねーのかって最近思うよ」
そんな悲しい一言を残して、ドアはパタンという音をたてた。