無口なDarling+α

「なんだよそんなこと?そんなに意気込まなくても普通にいいに決まってんだろ?」

呆れた、っと言いながらコーヒーの中の小さい氷を噛みくだく。


「あのね、その‥‥」

「あ?まだなんかあんの?」


不思議そうに私を見つめる優しい目。


その目を前にすると言いにくい。


「旅行は、旅行でも・・」

この一言を言ったら、猛は絶対不機嫌になってイヤだと言うの分かってるから。


分かってはいるけど!


「二人じゃなくて、」

「は?」


その一言だけで、優しかった猛の顔が歪みを見せた。

私の言いたいことが分かったんだろう。

猛の内面を知らなかったら、怖くて近づけないだろうな。


最近は穏やかな猛しか見てなかったから、こんな不機嫌そうな怖い顔は久しぶりだ。


まぁこの冷めた顔に一目惚れしたのも事実だけど・・・。


「その、」

「うぜーよ。聞かね」


あぁぁ。

こう不機嫌になると、機嫌を直すの大変なんだよね。。

「猛ー」


「知らねーよ」

イライラしたのか本日初めてのタバコを口にくわえた。







< 67 / 97 >

この作品をシェア

pagetop