無口なDarling+α
「お前が悪いんじゃねーから謝るなよ?それに」
髪を優しく撫でていた手が、頬をギュっとつねった。
「!?ヒテテテ!ヒファイ(痛い)!ヒファイヨ(痛いよ)!」
「もっと前みたいに我侭言っていいって言っただろ?」
「?」
「絶対絶対行ってくれなきゃやだー!!って駄々こねてみろよ?」
「・・・駄々こねたら行ってくれる?」
開放された頬をスリスリしながら尋ねる。
全く!女の子の頬に容赦ないんだから!
「お前の頼み方次第・・・かな?」
ニヤリと笑う猛。
こうなってしまったら、猛の思い通りになるのが見え見えだ。
たまにはギャフンと言わせたいけど・・・。
「・・・そっそれならっ」
「ん?」
「別にっ・・・いいもん!!猛が来てくれないなら違う人誘うからね!!」
仕返しのつもりで言ったけど、目の前にいる猛のがみるみるうちに再び不機嫌オーラを放ち始めた。
いっ今のはまずかったかも・・・っ。
「お前、冗談でも言って良い事と悪い事あんだろーが」
怒っているというよりも、傷つけてしまった・・・。
「ごっごめん・・・嘘、ごめん」
昔から、猛は私を喜ばせるのも、感動させるのも・・・叱ってくれるのも、意地悪するのも上手だけど、
私は全然上手く行かない。
長く付き合っててもこれだけはいつまでも変わらない。