ボクじゃダメですか…
『脱出成功ですね!』
飛び出した店から数十メートル早歩きをして
2人の息は少し荒かった
『手...離してもらっていい?』
『このままじゃダメですか?』
変わらず子供のように微笑みかける彼に何も言えなかった
『お腹すきません?ボクなにも食べてなくて...亜矢さんもでしょ?』
『...』
『亜矢さん、なにが好きですか?』
ついさっき知り合ったばかりなのに
前からの知り合いみたいに話しかけてくる彼のペースに引きずり込まれていた
『亜矢さん?』
『章大くんだっけ?』
『はい、神山章大です』
『今日はありがとう、助かりました』
私は彼の手を離し頭を下げた
『困ってたの...人数合わせだったから』
『...』
『連れ出してくれて本当に感謝してます』
そう告げると
章大の顔から笑顔が消えていた