時間
2週間後。
昨日から梅雨に入り、ジメジメとした日が続いている。
しかも、今日は雨という最悪な天気。
「行ってきまーす……。」
憂鬱な気分でやる気も出ないけど、学校に行かない訳にはいかない。
しんどいなぁ、と思いながら私は駅へと向かう。
私の高校へは、電車で30分ほど。
ちなみに、近いから選んだのではない。
私の進路のためには、今の高校がいいと思ったからだ。
失敗か成功かは分からないけど、今の高校を選んで良かったと、自分では思っている。
進学校なので、入るのにとても苦労したけど……。

「英明高校前〜 英明高校前〜」
30分後、高校の最寄駅に着いた。
この最寄駅の名前にもなっているこの高校が、私の通う高校だ。
「あっつー……。」
改札を抜け、私は右手で傘を差し、左手で下敷きを持ち、うちわ代わりに仰ぎながら歩き、学校へと向かう。
生ぬるい風が肌を通り過ぎていった。

「あ、愛梨来たー!」
「おはよー!」
教室に入ると、出席番号順に並べ替えられた私の席とその後ろの席に友達2人が座っていた。
「おはよー!てか、ユカ今日早いじゃん。どうしたの?」
私は、自分の机に鞄を置きながら聞く。
ユカとは、私の席に座っている子で、ショートカットがよく似合う明るい女の子だ。
そして、その後ろに座っているのが亜希と言う子で、背が高く、黒髪のロングヘアが印象的な、サバサバした女の子だ。
私は、いつもこの3人で学校生活を送っている。

「試験範囲の勉強がなかなか終わんなくてさー。早く来て残り勉強しようと思って。」
ユカは苦笑いをしながら言う。
そう、今日は期末試験の初日。
私も、昨日は徹夜で試験勉強していたから寝不足だ。
「それでさー、愛梨、ここの解き方教えてくれない?」
「どれどれー?」
私はユカからノートを受け取り、問題を読む。
「……あぁ、これはこの公式を使って解くんだよ。」
私は、ユカからシャーペンを受け取り、ノートに書き込む。
「あ、なるほど!さすが愛梨!」
「その問題、私ら超苦戦してたんだよー。やっぱ秀才は違うなぁー。」
ノートに黙々と何かを書き込んでいた亜希が顔を上げてそう言うと、ユカがうんうん、と頷く。
「いやいや、それ大げさだし。」
私も、笑いながらノートと教科書を開き、試験前の確認を始めた。

ガラガラガラ
「みんなー、席に着けー。」
10分ほど経った頃、教室の扉が開き、担任が入ってきた。
それぞれ自分の席に着き始め、ホームルームが始まった。
「えー、今日は期末試験の初日だが、気を引き締めて臨むように。それから……。」
「ねーねー、先生の話ダルいよね。」
後ろの席の亜希がコソッと話しかけてきた。
それは私も思っていた。
というか、クラスの全員が思っているに違いない。
「試験の日なんて午前だけなのに、何であんなに話長いんだろう?てか、話すことなくない?」
「確かに。うちの担任は特に話が長いしね。」
私たちは、ヒソヒソと担任の悪口を言い始める。
まぁ、高校生なんてこんなものだろう。
けど、試験の時間があっという間にやってきて、私はバタバタと1日を終えた。



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