時間
「ただいま……。」
午後10時。
今日は期末試験3日目で、塾がある日だったから、いつもより帰るのが遅くなった。
もうヘトヘトだ……。
「お帰りなさい。夕飯、チンして食べてねー。」
玄関に顔を出したお母さんは、そう言うとすぐにリビングに引っ込んだ。
私は、はーい、と返事をし、あくびをしながら階段を上り、自分の部屋に入る。

「えーっと、明日の試験は……。」
机に鞄を置き、コルクボードに貼ってある試験の日程表を確かめる。
明日は、物理と現代文と世界史だった。
明日は特に得意分野だから、まぁ大丈夫だな、と思いながら、制服を脱ぎ、部屋着に着替える。
〜♪
さて、着替え終わったし、ご飯を食べようと部屋を出ようとすると、ケータイが鳴った。
この音はメールだな、と思いながら鞄の中からケータイを取り出すと、''ヒロ''という名前が表示されていた。
''試験の最終日の放課後、体育館裏に来て。話したいことがある。''
という内容のメールだった。
''ヒロ''というのは、1年のときから付き合っている彼氏。
でも、しばらく連絡も取っていなかったし、すでに冷め切っていた。
私は、別れ話だろうな、と思いながら、''分かった。''とだけ返信した。
「……ご飯終わってお風呂入ったら、明日の試験勉強しないと……。」
私は、ケータイを閉じ、ベッドに放り投げた。
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