超能力者(エスパー)少女探偵団【ムーサ】
赤い左眼の転校生
一人だけの部屋
眩しい日差しを避けるためのレースのカーテンはしっかり閉めた。
出入口に鍵も掛けた。
香りの良いお茶も淹れた。
それと、大好きな小説もたくさん用意した。
よし!完璧!誰にも邪魔されない!
安楽椅子に腰掛け、手に取った推理小説の表紙を捲る。
古書独特の埃っぽい香りが鼻をくすぐった。
ああ、幸せ……
私立菜ノ花ヶ丘(なのはながおか)学園中等部本館、文芸部室の窓際、私専用の席。
ここは、私のとっておきの場所。
中学一年生にして学園トップの成績を誇る私に、学園長先生が特別に作ってくれた。
文芸部と言っても、部員は私一人しかいないけどね。
教室に居ると、低レベルなバカ達と半日も一緒に過ごさなくちゃいけないから嫌。
高校生くらいで習うことだったらとっくに頭に入ってるから、無理に授業を受ける必要もない。
けど、ここなら誰にも邪魔されずに好きなだけ好きな本を読める。
今は大体ホームルームが始まった時間だから、そんなに人も通らないだろう。