願い橋。【短編】
「おい、いつまでめそめそ泣いてんだよ。」


「…何だアンタか…びっくりさせないでよ。」

涙でぐしゃぐしゃになった顏を一瞬だけ向け、再び川を覗きこむ。


声をかけてきた男は、私のクラスメイト。


そして、ケンカ友達でもある。


「何だよ、その言いぐさは。お前も人並みに落ち込むかなって心配してきてやったんだぞ?」


「心配される筋合いなんかなんかないから!!」



「おっ、怖っ~。でもさすがに大好きな先輩にフラれたら泣きたくもなるわなぁ~。しかも二股っていうか自分が浮気相手だったなんて、マジ悲惨だよね~。」

「うるさい!!アンタ励ましに来たの!?それとも落ち込ませに来たの!?」



「さぁね~。」




「本当アンタって最低なヤツ!!…何よ!?人の顏ジロジロ見て!!」



「いや、そっちの方がお前らしいなって思って。」



「…意味分かんないし。」


「だから、泣いてるよりも、怒ってる方がお前らしいって言ったの。いつも通りのお前に早く戻る為に、思いっきり泣いてささっと先輩の事を忘れろ。」


そう言って、私の肩をバシッと叩く。


「…そんな簡単に言わないでよ…。」



堪えていた涙が再び溢れ出した。
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