君しか知らない世界
細めた目に
_______今日の天気はあたしの心とはまるで逆の天気だ
8月下旬、午前8時3分。最寄駅のホームのいつもの場所にあたしは立っている。
学生は夏休み真っ只中、仕事へ向かうサラリーマンの姿を見てあたしは哀れだと思う。
私が思っていることを一言で言えば、”大人にはまだなりたくない”ということ。
サラリーマンがハンカチで汗を拭う姿に夏はまだ終わらないことを教えられた気がして、急に気分が悪くなった。
「まもなく〜2番ホームに快速流星町行きが参ります。...」
駅員さんの声があたしの脳内をこだまする。
8時6分、私は電車に乗り込んだ。
車内は快速なわけで空いているわけがないのだけど、いつもの定位置を確保することが出来た。
出入口の手前は外の景色も見えるし、寄りかかる場所も、掴まる場所もあって一番好きな立ち位置だ。
クーラーがついているはずなのに、人混みで生温く感じてしまう空気は少しばかりか不快感がある。
窓の外に目をやると都会のビルに反射した太陽が眩しくて、あたしは目を細めた。