君しか知らない世界

「女子が谷地、男子は...吉田、クラス委員になった2人に拍手!」


何故か俺は黒板の前に、彼女と2人で立っている。

それもさっきの、藤沢の「谷地が男子を選べ」的な発言のおかげで見事に俺が選ばれた訳だが、とても迷惑な話だ。

谷地に腕を引っ張られ、無理やり前に立つという形になった。


「いや、俺引き受けるって言ってませんよね?」

藤沢に訴えるが

「いやー、もう決まってしまったもんで今から男子の委員選びますって言っても、誰も候補でてこないと思うんだ。ってことでやってくれよ、吉田くん。」


くん、づけが妙に気持ちが悪い。


「はあ...」


「まあまあ!どうでもいいじゃんそんなこと!あ、えーと、2年F組の学級委員になりました。谷地紗和香です!ヨロシクお願いします!」

俺にとってはどうでも良くない話を、どうでもいい話に変えたコイツは悪魔だ。横目で谷地を見てそう思った。

「ほら〜、カズマーガレットくんも自己紹介しなよ!」

カズマーガレットくんて、マーガレットって花とコラボしたんだろうけど、ここは突っ込んだ方がいいのだろうか。


「...吉田和真です。宜しくお願いします。」

そう言って、ペコリと一礼する。


「え?それだけ!?てか、カズマーガレットってのには突っ込まないんだ!」

へへっ、ってまた彼女が笑う。

(あ、えくぼ。)


「...突っ込んだ方がよかった?」
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