君しか知らない世界
「うん、突っ込んで欲しかった!」

なんて、そんな事言われてもね、突っ込むつもりなんてないけどさ。




「まあ、学級委員も他の委員もすんなり決まったし、本当に良かった。」

LHR終わりに藤沢がそう言った。

その”すんなり”っていうのは俺のおかげだからな、なんて心の中で呟く。

「帰りのSHRはカットで、じゃあ各自解散!」

その後の教室は喋る人で溢れかえっていて、あまりすぐに帰る人はいなかった。

なんでこうもうまくやっていけないんだろうか。それも、彼女のせいである。学級委員なんて無理やりやらされたようなもんじゃないか。

そんな俺の心を見透かしていたのか、1人の男子が俺のとこにやってきた。


「よっ!吉田!って呼んでもいい?」

茶色の髪の毛が目立つこいつは確か水泳部だっけな。

「別に何でもいいよ。」

「えっ?じゃあ、カズマーガレットでも?」

こいつ、誰かに似てんな。そうか、谷地に似てんのか。

アホっぽいとことか、その他諸々、こいつは谷地に似ている。

「...。」

「...いやいやいや!冗談だってば!俺のことは少年Kとでも呼んでくれよ。」

「神山龍人...だから?」

「いや、そうなんだけど。今、リュウトって言った?俺は、リュウトじゃなくてリュウジンだ!」
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