君しか知らない世界




翌日、彼女は何事も無かったかのように俺に話しかけてきた。


「カズマ、おはよー!てかもうカズマでいいよね〜?」

「いいよ。」

「カズマ、数学のプリント終わってる〜?見せて〜!」

「いいよ。」

「カズマ、今日はお昼にお弁当一緒に食べよう!」

「いいよ。...え?」


正直あまり話を聞いていなかったので、スルーする所だった。


「だから!お弁当一緒に食べよって言ってんの!」

昨日は他のクラスの友達と食べてたんだよね?その人はいいの?って聞こうとしたけど迷った。

「俺、リュウジンと食べるんだけどそれでもいいなら別にいいよ。」

「神山なんていてもいなくても変わんないっしょ!あたしは平気だよ!」


それはさすがにどうかと思うけど。


「だーーーれーーーがいてもいなくても変わんないって?谷地!」

今日は茶髪に寝癖がついている、リュウジン。後で教えてやろう。

「え、いつから聞いてたの?」

「俺は最初からここにいたんだ!お前の「カズマ、おはよー!」の当たりからな!」

いつの間にこんなに仲良くなってたんだな、俺は谷地に、俺以外の友達が出来たことに少し安心した気持ちになった。

「お前ら、仲いいな。」

そんなことを言ってみる。


「え?...ああ、俺ら従兄弟なんだ!」

「は?」


従兄弟!?この2人が!?

まあ、どうりで似ているわけだが。

顔の問題ではなく性格上の話。


「お前ら、従兄弟なのに苗字呼びなの?」

「中学も一緒だったんだけど、その時下の名前で呼びあってたんだよね!そしたら、カップルとか言って冷やかされちゃって、それから苗字呼びなんだ〜。ほら、誤解って面倒くさいでしょ?」

谷地が、女は噂話が好きだからね〜なんて付け加えて言う。
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