君しか知らない世界
「ねえ、吉田くん!」
気がついたら、あっという間にSHRは終わっていて、前の席の女子が俺に話しかけてきた。
初見、コイツは無理なタイプだと思った。
「あたし、谷地紗和香!谷地でもサワカとでも呼んで!よろしくね!」
「...よろしく」
あまり、関わりたくないと思ったので距離を置くことにした。
嫌そうな態度をしておけば、話しかけてこなくなると思って。
「吉田くんって下の名前何ていうの??」
「...さあ。」
「自分の名前わかんないの?吉田くんってやばい人!?」
「...やばい人は谷地さんでしょ。」
「あたし、やばい人!?そんな風に思われてたの?てか、谷地さんやめてよ!谷地かサワカって呼んでって。」
「...」
(...谷地)
心の中で1回君の名前を呼んでみた。