君しか知らない世界
「いやいや(笑)嘘っぽいって!!カズマくんて嘘下手くそでしょ?(笑)顔引きつってたよ!」

目に涙を溜めて笑う彼女。

「...」

もう、言葉にもならない。俺は顔に出るタイプなんだきっと。


「まず!あたしは、あたしじゃん!って言って君を反応を楽しむことにした!」

急に人差し指を立てて、そんなことを言う彼女は探偵のようにも見えた。

「そしたら、君はそうだね。と言った!」

君、という呼び方が気になるが今はどうでもいいだろう。彼女の探偵ごっこさ。

「その反応をみて、私は更に反応を楽しむために、リアルっぽく信じてみることにした!どうせ、君はそんな風に思ってもないだろうからね!」


「つまり、俺は谷地に騙されてたってことか」


引っ掛けたつもりが、引っ掛けられていた。

「ん〜まあ、そんなとこかな!」

ニコニコ笑顔の彼女。俺はさっきから、笑う彼女の顔にできる、えくぼがとても愛らしいと思った。

失礼だが、谷地は特別可愛い顔ではない。不覚にも彼女が笑った顔は可愛いと思った。



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