バゲット慕情
美智子はレジ台の椅子を工房の出入口に寄せ、久しぶりに、園田の仕事を眺めた。
材料のミキシングは機械作業だ。
パンミキサーは、かき氷機に似ている。
二股に開いた足の間に、材料の入ったステンレスボウルを設置し、下向きに付いたホイッパーを内蔵のモーターで回転させ、生地を均一にこねる。
小麦粉と水とモルトシロップを混ぜること三分。
その後、三十分間、生地を休ませる。
この過程で、小麦粉に十分に給水させる。
小麦由来のタンパク質が水と結び付くと、パンの引きの強さを生み出すグルテンが形成される。
三十分が経過し、生地が柔らかくなったら、塩とドライイーストを加え、三分こねる。
こね上がりの温度は二十三度が最もよい。
この過程で、小麦粉に十分に給水させる。
小麦由来のタンパク質が水と結び付くと、パンの引きの強さを生み出すグルテンが形成される。