押してダメでも押しますけど?
「何ですかそれ?」

「うーん、添い寝してくれる友達??」



まさかの疑問系の返答に頭が痛い。



「疑問系で言われても私には正解はわかりませんよ。」


「知らないの?若者の間ではやってるんだよ?」


「どうしてそんな見え透いた嘘付くんですか?」


「・・・・。聞いた事無いのに、何で嘘だって思うのさ?」


「聞いた事無いから、流行ってるってのが、嘘だって思うんですよ!」


「・・・・・それもそうか。」


「・・・・・」



帰りたい。


「俺さぁ、ショートスリーパーなんだよね。」


「あぁ、睡眠時間が他人よりも短くてもいいっていうやつですか?」


いきなり何だと思いつつも、一応、話に乗ってみる。



「そうそう。まぁ、元から寝付きが良いほうじゃ無かったからね。短い睡眠時間に慣れたって言ったほうが正しいのかも知れないけど。」


「はぁ。」


「それが、最近、2時間くらいしか寝れてなくてさぁ・・・流石にちょっとしんどいんだよね。」


「2時間??!!」



いくら睡眠が短くてもいいとは言ってもそんなんじゃあ、体調を壊してしまう。


「そう、ヤバいだろ?1.5時間の倍数じゃ無いんだ!」


「は?」


何言ってんだこの人。


「人は、レム睡眠とノンレム睡眠を1時間30分ごとに繰り返すと言われているんだ。つまり、睡眠時間は、1.5時間の倍数じゃないと、良い睡眠とは言えないんだよ!!」


「・・・・はぁ」


「だからね、俺が睡眠時間3時間に慣れる様に、ソフレになって欲しいんだ!」


「何で、私なんですか?」



色々、おかしいとこはあるが、私の一番の疑問はここだ。


後は、聞き始めたら、朝までかかりそうなので、ひとまず置いておく事にする。



「それは、立川さんの隣なら眠れるからだよ。」


「何を根拠にそんなこと思うんですか?」


「だって、いつもタクシーの移動中眠れるから。」



「あっ・・・・」



起こした時に、必ず寝ていたか確認する社長の姿を思い出した。



「初めはさ、ビックリしたよ。最後に他の誰かがいる空間で眠るのなんて、高校の修学旅行以来だったしさ、ましてやうたた寝なんてしたとこ無かったから。

よっぽど疲れてるのかなと思ったし、体調が悪いのかとも思ったけど、違ったみたいだ。」



そう言うと社長は、私の目を真っ正面から見つめて、言った。



「立川さん・・・君が側にいたからだ。」


< 37 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop