押してダメでも押しますけど?
「とりあえず、一緒の布団で寝てくれっていうのは、無理な話だと思うから・・・」


当然だ。


無言で相づちを打つ。


「俺が寝るまで、側に居てもらって、その後は別々のベットで寝るというのはどうかな?」


「つまり、私が、社長が寝るのを待ってそれから自分の家に帰るってことですか?」



何だか、話が思いのほか具体的なのは気のせいだろうか?


「そんな訳ないだろ?それってつまり、俺が寝てから一人で家に帰るってことだろ?そんな危ない事させれるわけないじゃないか。

 立川さんには、俺の家に一緒に住んでもらって、俺が寝たら、自分の寝室に戻ればいいんだよ。」



何言ってんだこの人。


「それって、一人で夜道を帰るより危ない気がするのは気のせいでしょうか?」



社長は、私の嫌みを気にするでもなく、サラッと答える。



「何で?あぁ俺が襲うと思ってるの?

 大丈夫だよ?鍵付きの部屋を用意するから。」



そういう問題じゃないと思う。


それに、何だか、順調にソフレになる方向に話が進んでいる気がして仕方が無い。



「何だか、話が具体的になってますけど、私、まだソフレになる何て言ってませんけど?」


「え?そうなの?」


さっきからそう言ってますけど?


「鍵付きの部屋を用意するよ?」


それでも社長と一つ屋根の下ですよね?


「うち、会社から近いよ?」


それはちょっと惹かれるけども・・・


「会議も接待も文句言わずに行くからさぁ・・・」


それは社長として当然です。


「俺、本当に困ってるんだ・・・」


あ、泣き落としに方向転換したな・・・


「とりあえず、2週間だけ!ね?」


『ね?』じゃないよ!!



お願いっと目をつぶって両手を合わせる社長。



そんな社長を無言で見つめていると、社長は手はそのままでゆっくりと目を開けた。


社長と目が合う。





「・・・・・2週間だけですよ?」



社長の表情がパッと明るくなった。


「うん!!」


嬉しそうな社長を見てため息が溢れた。





あぁ、負けてしまった。
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