押してダメでも押しますけど?
ソフレ契約書

1.相手の嫌がることはしない事

2.家の中ではお互いを名前で呼び合う事

3.ベットの上では口説かない事



「う〜ん、他に何かある?」


コピー用紙とボールペンを持って来た社長が、小学生のような字でスラスラと書いた契約書。


ツッコみ所満載なのは私の気のせいだろうか?




「社長?」


「ん?」


「1番は良いとして、他の二つは何ですか?」


「え?何か変かな?」


「何で、名前で呼び合うんですか?」


「だって。プライベートで社長って呼ばれたくないじゃん。」


「まぁ、それはそうかも知れませんけど・・・・

 じゃあ3番は?」


「だって、流石に、ベットの上で口説いてたら、何もしない自信ないよ。」


「・・・・」



勝手に言ってろ。



「私、社長と同じベットで寝ませんよ。」


「うん。分かってるけど。2週間あるから、何が起きるかわからないじゃん。」



絶対にありえない!!



心の中で強く誓った。



「色々言われて戸惑ったとは思うけど・・・

 俺が寝不足なのも、あかりといると眠れるのも事実だから。」


あ、あかりって言った。


「俺の側に居て下さい。」



社長に真っ直ぐに見つめられ、気がついたら頷いていた。



それを見た社長はホッとしたように笑う。


「良かった。今更だけど、断られるかと思った。」


私だって断りたかった。でも気づいたら頷いてしまっていた。



何で、私は断れなかったんだろう?



自分の気持ちがさっぱり理解できなかった。



「それじゃあ、寝ようか。」


考え事をしていると、社長がそう言った。



その言葉で私の心臓が飛び跳ねた。



「あかりが先に歯磨いておいでよ。」


そう言われて、気持ちの整理が付かないまま立ち上がった。

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