押してダメでも押しますけど?
「あかり?おーい!あかりってば!!」


「はい!!」


社長の声で我に返ると、社長はさっきよりも心配そうにこちらを見ていた。


「本当にどうした?」


「いえ、何にもありません。」


さっきと同じ様に誤摩化すと、社長は眉を寄せた。


「嘘付け。何考えてたの?」


「え?」


「あかりがそんな顔してる時は何か嫌な事考えてる時だろ?」


「!!」


社長の言葉に驚くと、社長はハンバーグを食べる手を止めて言った。



「一年も一緒に仕事してたんだらか、それくらい分かる。

 それに、俺は、あかりのこと好きだからな。」



その言葉を聞いて完全に止まってしまった。



「何で、そんなに驚くんだ?俺の気持ちは初日に言ってあったろ?

 で、何考えてた?」


「あの・・・!それは・・・」


あの告白を疑ってましたとは言えまい。



「それは?」


社長の瞳が真っ直ぐに私を見ている。


どうやら、答えるまで引くつもりはみたいだ。



「あの、私、ちゃんと役に立ってるのかなって・・・思って。」


「ん?」


「社長、いつも私より早く起きてるし、体調も、そんなに良くなった様には思えなくて・・・」


「つまり、ソフレとして役になっている気がしないと?」


「・・・はい。」


「うーん。別に役に立つ必要はないよ。」


「え?」



「だって、添い寝フレンドだぞ?友達だぞ?役に立つ必要あるか?」



「そう言われればそうですけど。」



「うーん。役立ちたいってことは、あかりの中では、俺はまだ上司以外の何者でもないんだな・・・。」



「・・・」


「わかった!!良い案があるぞ!!

 俺の事、名前で呼んで、一緒に寝れば良いんだ!!」



「何でそうなるんですか?!」


「だって、そうすれば、ソフレって感じがするし、上司と部下の関係も崩れそうじゃないか!」


「却下で!」


「ケチ!」


「ケチでかまいません!」


「・・・まぁ、いいけど。

 あかりもさぁ、そんな難しく考えないでよ。俺はただ、ここで楽しく過ごせればいいと思ってるだけだからさ。」




優しく微笑まれて、私は、無言で頷くしかなかった。

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