押してダメでも押しますけど?
よく考えると、すごいマズイ気がする。


社長の暮らし始めて1週間。社長の横にいるのに全くの違和感が無くなっている。


もともと仕事中はずっと一緒だったし、そんなもんかもと思ったけど、今日のはマズイ。


社長に抱きしめられて嫌じゃないとか問題あると思う。



そもそも私は社長のことをどう思っているのか?


あと1週間ある同居生活に備えて、真剣に考えた方が良さそうだ。




まず、社長のことは嫌いじゃない。これは断言できる。


では、それは恋愛対象としてなのか・・・。



うーん・・・・わからない。



「・・・かり?あかり!!」


「はいっ!!」



自分の世界に入っていた私は、社長の声で我に返った。



「どうした?車に酔ったか?」



そうだった、今はラーメン屋から帰る車の中だった。



まだ、自分の世界に浸る時間ではない。



「大丈夫です。

 ちょっと食べ過ぎてしまって・・・」



結局私は、おじさんがおまけしてくれたチャーシューがこれでもかと乗ったラーメンを平らげ、社長の餃子もわけてもらった。


おなかが苦しいのは事実だ。



「まぁ、すごい食べたからな。」


そう言って社長が言って笑うので、私はふて腐れた。




「どうせ、私は大食いですよ。」




「いや、いいんだよそれで。その方が一緒にいて、飯が美味しいから。

 だって、食事は人間の三大欲求を満たす物だから。楽しい方が良いに決まってる。」


またその話か・・・



前にその話になった時の会話を思い出し、警戒するも社長はそれ以上何も言わない。



気になって社長を見る。



暗い車内でぼんやりと社長の横顔が外の明かりに照らされて浮かび上がる。



「どうした?」


「何でもありません。」



そう問われて慌てて社長から目をそらした。



まさか、見とれていたとは言えまい。



「そうか・・・あ、あれか?残りの欲求も満たしてくれる気に・・・・」



「なりません!!!」




やっぱり社長は恋愛対象外で!!


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