押してダメでも押しますけど?
私は今、猛烈に後悔している。
  


現在、夜中の1時。


アレから寝付けなかった私は、携帯ゲームをやることにした。

丁度昨日から『魔法戦士リノア』とのコラボが開始したから、それを確認しようと思ったのである。

そのままゲームに夢中になって、今に至る。



確かにちょっと遅い時間だが、後悔しているのは、ゲームで夜更かししたせいじゃない。




外から微かに聞こえる音が私を激しく後悔させる。



「さっさと寝れば良かった・・・・」



ピカッと光った後に響くあの音が私は大嫌いだ。




だんだん近づいて来る音から逃げたくて、布団に潜るが、そんなことで逃れられはしない。



泣きそうになりながらも思い浮かぶのは、リビングにいる社長の姿。



まだ、起きているだろうか?


熱心に仕事をしていた社長、その横にいさせてもらうだけでも仕事邪魔になるだろうか・・・。



悩んではみるものの、段々大きくなる雷鳴への恐怖心にまけ、私は、扉を開けてそっとリビングを覗いた。



だが、さっきまで居た場所に社長の姿はない。



「あれ?」



思わず扉を大きく開け、リビングへと足を踏み入れる。



無意識に廊下へと続く方を見れば、そこには立ったまま、お茶を飲んでいる社長の姿があった。



「わっ!」



飛び上がりそうなほど驚いた私に、社長が一言。


「何だ、覗きか。」



「違います!」


本当はあまり違わないけど。



ドーーーーン!!バリバリバリ!!



地響きがしそうなほどの大きな音がした。



「きゃーー!!!」



今度こそ飛び上がったと思う。



頭を抱えてうずくまる私。



「大丈夫か?」


上から社長の声がする。



「大丈夫じゃありません。」



そう答える私の声は、涙声だ。



「おいで。」


そう言って、社長が私を支えながら立ち上がらせる。




「すいません、お仕事中に。」



「別にかまわないよ。

 ちょうど休もうと思ってたところだったから。」



「そうなんですか?」



「あぁ、それにしてもあかりは雷苦手だよね?」



「え?私、話しましたっけ?」



「いいや。でも好きな人の事だよ?それくらい気づくよ。」



「・・・・」



何か言いたいけど、雷の音が気になって、頭がうまく動かない。



私は、社長のベットに導かれ、そこに座らされた。
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