押してダメでも押しますけど?
行きは社長も一緒だったからタクシーだったが、今は私一人なので最寄りの駅へ向かう。
券売機の前に立ち、自分の会社の最寄りの駅までの切符を買おうとしたとき、スマホが鳴った。
見ると社長からのメールで、そこには一言。
『裏切り者』
「・・・・」
これは、抹茶味のカステラだけでは弱いかもしれないな・・・
私は、会社とは反対方向の駅までの切符を買った。
駅で降り、歩いて10分ほどで目的の店が見えて来た。
“Étoiles”(エトワール)と書かれた看板を見ながら店に入る。
「いらっしゃいませ。あ、あかりさん。」
顔なじみの店員の瑞希ちゃんが声をかけてくれる。
「ごめん。今、奈々暇かな?」
「確認してきますね。少々お待ちください。」
そう言って、奥に入って行こうとすると、ドアから綺麗な顔が出て来て言われた。
「勤務中に暇な訳無いでしょ?ちょっと奥で待ってなさいよ。」
「はーい。」
もっともな意見に大人しく従う。
行き慣れたスタッフの控え室に勝手に行って待っていると、5分もしないうちに奈々が入って来た。
「で、今日は何?」
「何か良いものない?」
「は?うちには良いものしかないわよ。」
「すいません。」
お姉さまは今日も厳しい。
ここエトワールは2年前に奈々がオープンさせたチョコレート専門店だ。テレビや雑誌にも取り上げられることもある人気のお店だ。
奈々は高校時代からの友人で、もちろん私はエトワールが出来たときからの常連でもある。奈々の作るチョコレートは友達の欲目をとっぱらっても凄く美味しい。
そして、ここのチョコレートはうちの社長のお気に入りでもある。
「何?また社長?」
「うん。ちょっと色々あって。」
「あんたもホントに甘いわね。
どうせ、仕事で駄々こねられたんでしょ。」
「・・・・」
おっしゃる通りです。
「大人なんだから、そんなんでいちいち機嫌取ってたらキリがないでしょ?」
「そうなんだけどさ・・・」
目の前の奈々を見る。
仕事の邪魔にならない様に一つに結ばれた髪は、下ろすと肩まである見事なストレートだ。
小さい顔にぱっちりとした二重は黙ってればお人形のように可愛い。
まぁ、黙ってればだけど。
券売機の前に立ち、自分の会社の最寄りの駅までの切符を買おうとしたとき、スマホが鳴った。
見ると社長からのメールで、そこには一言。
『裏切り者』
「・・・・」
これは、抹茶味のカステラだけでは弱いかもしれないな・・・
私は、会社とは反対方向の駅までの切符を買った。
駅で降り、歩いて10分ほどで目的の店が見えて来た。
“Étoiles”(エトワール)と書かれた看板を見ながら店に入る。
「いらっしゃいませ。あ、あかりさん。」
顔なじみの店員の瑞希ちゃんが声をかけてくれる。
「ごめん。今、奈々暇かな?」
「確認してきますね。少々お待ちください。」
そう言って、奥に入って行こうとすると、ドアから綺麗な顔が出て来て言われた。
「勤務中に暇な訳無いでしょ?ちょっと奥で待ってなさいよ。」
「はーい。」
もっともな意見に大人しく従う。
行き慣れたスタッフの控え室に勝手に行って待っていると、5分もしないうちに奈々が入って来た。
「で、今日は何?」
「何か良いものない?」
「は?うちには良いものしかないわよ。」
「すいません。」
お姉さまは今日も厳しい。
ここエトワールは2年前に奈々がオープンさせたチョコレート専門店だ。テレビや雑誌にも取り上げられることもある人気のお店だ。
奈々は高校時代からの友人で、もちろん私はエトワールが出来たときからの常連でもある。奈々の作るチョコレートは友達の欲目をとっぱらっても凄く美味しい。
そして、ここのチョコレートはうちの社長のお気に入りでもある。
「何?また社長?」
「うん。ちょっと色々あって。」
「あんたもホントに甘いわね。
どうせ、仕事で駄々こねられたんでしょ。」
「・・・・」
おっしゃる通りです。
「大人なんだから、そんなんでいちいち機嫌取ってたらキリがないでしょ?」
「そうなんだけどさ・・・」
目の前の奈々を見る。
仕事の邪魔にならない様に一つに結ばれた髪は、下ろすと肩まである見事なストレートだ。
小さい顔にぱっちりとした二重は黙ってればお人形のように可愛い。
まぁ、黙ってればだけど。