押してダメでも押しますけど?
会社についても、まだ誰も来ていなかった。


二人しかいないオフィス。


だが、就業前でもやることはたくさんある。私も社長も普通に仕事をし始めた。


黙々と仕事をこなしていたが、あることを思い出して、社長につげる。


「社長、今日は神戸商事の創立記念のパーティーがございます。絶対にご出席をと副社長からのお達しです。」


「聞いてない。」


「言ってませんでしたから。」


「忙しいから無理。」


「大丈夫です。必ず出席していただけるように調整ずみです。」


「・・・お菓子は?」


「ありません。必要なら買ってきますが?」


最近、社長の家に泊まっているので家の近くにある一風堂には行っていない。


「いい。それよりお願いがある。」


「・・・・・なんでしょう?」



何か、すごいやな予感がする。社長が、大好きなお菓子の代わりにするお願いなんて正直聞きたくない。


「今日のパーティーに一緒に行ってほしい。」


「・・・もちろん同行いたしますが?」


いつも、逃げ出さないようにちゃんとついて行ってるけど?



「そうじゃない。秘書としてじゃなくて、パートナーとして一緒に行ってほしいと言ってるんだけど?」



「嫌です!!」


「俺だって嫌なんだけど?」



「社長は、仕事です!」


「じゃあ、あかりも仕事で」


「だから!秘書としてなら同行しますと言ってるじゃないですか!」


「秘書として行くのとパートナーとして行くのってそんなに違う?」



「周りからの目が全然違います!それに、社長自身が違いをそんなに感じないなら、いいじゃないですか!」


こんな人でも、今をときめく注目のイケメン社長だ。


そんな人のパートナーとしてパーティーに何て行こう日には嫉妬の的だろう。

それは、何がなんでも嫌だ!!



「俺は、全然違うよ?テンションもやる気も。

 だってさ、いつもスーツのあかりが、きれいな格好して、俺と腕くんで歩くんでしょ?サイコーじゃん。」


「つまり、私がきれいな格好して、社長と腕組んで歩くんですよね?普段と全然違うじゃないですか!」


何が『そんなに違う?』だ!!違いしかないじゃないか!!


「えーいいじゃない、別に周りにどー言われようと!」


「嫌です!!」


社長がうるうるした目でこっちを見てくる。


直視してはいけない!私は目をそらす。



「お願い!」


「嫌!!」


今度は袖をクイクイと引っ張ってきた。


「ねぇ、あかり~」

「・・・・・わかりました。今回だけですよ!」


「よっしゃー!!」


私も大概社長に甘い。
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