椅子獲りゲーム
泣き止んだ私に突きつけられたのは、

予想外な展開だった。

元々、このクラスの女子だったため、

2-2以外の生徒は早々に帰宅した。

先生が来て落ちていったときの様子や、

前の日の事等散々言わされたあげく、

帰れるのはもう少し後、という事実が、

背中に大きな重りになって落ちてきた。

悪いことの予想が、当たってしまった。

当たってほしくなかったのに。

――――ザァァァァァァァ

突如教室内に走ったノイズが、

耳を貫いていく。

―――――裏切り者により、
第18回、椅子獲りゲームを開始します。


―――――ルールは簡単。
裏切り者だと思う人に投票するだけ。
制限時間は1時間。投票場所は職員室。


―――――それでは、
ゲームを開始します。


―――――残り1時間

淡々と説明していく無機質な声が、

最悪な出来事だと簡単に想像出来る。

逃げなきゃ。

「おい。御夜。俺達も行くぞ。」

「...なきゃ。」

「は?」

「早くここから、逃げなきゃ!!!」

私じゃないような声が出た。

「御夜。行くぞ。」

「拓也、他の皆は?」

「おそらく、先にいってると思う。」

そうだ。

時間は1時間しか、ないんだった。

「行こっ」

急いで階段をかけ降りる。

職員室は、確かあっちだった。

声が聞こえる。

皆職員室に要るんだ。

――――職員室前

皆が集まっていたのは、

人1人分入れる程度の箱だった。

...ここが、投票場所?

「あ、御夜。
1人ずつ投票するんだって。
私も並ばなきゃいけないんだよね。」

「そうなの?」

「うん。
そう言えば私、ちょっと怪しい人、
見たような気がする。」

「怪しい、人?」

優香から、

そんな言葉が出ると思わなかった。

「うん。あのね。
実は、
御夜ちゃんの後ろの席の真由ちゃん。
あのこ、菜摘ちゃんが落ちたとき、
...笑ってたんだ。」

「え?」

「疑うのは良くないけど、
あっ、ごめん。
投票の順番、来たみたい。」

そう言って、
優香は早足に箱のなかに入っていった。
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