離してなんてあげねえよ
「ここが最期、被服室」
「被服室…ね」
私はメモ帳にメモした
「あいつ家庭科部なんだぜ」
「あいつ?」
「陽暮だよ」
「あ、陽暮君ね」
陽暮君と言うと
蓮水君がブスゥとした顔をした
「あいつは下の名前なのに
俺は名字?ずるい」
蓮水君って子供みたい
「陽暮君の名字を知らないからよ」
「遥清 《ようせい》だよ」
「遥清君ね
じゃあ、ありがとう
これで校内図はだいたいわかったわ」
私はお礼を言って立ち去ろうとした