離してなんてあげねえよ
「陽暮」
「何…?」
「もう大丈夫だよ」
「嘘つき」
「…………」
「美嵩、こんな時に不気心だけど」
陽暮が耳元で呟いた
「俺が…湊の分まで幸せにするから…俺が守るから…だから」
そこまでいいかけた陽暮の口に、私は指をあてた
「…私は陽暮を好きになれないから、…自分の中で決めた事なの」
私がそう言うと、陽暮は私を抱き締めていた手を離した
「でも、諦めないよ」
「え?」
「俺も決めた事だから」
そう言って笑った