にんじんは甘い、ピーマンは苦い
そんなことを言ったら、兄が何をするのかわからない

大切な恋人があげた服を濡らされたんだ

きっと、兄は黙っちゃいない

「…そうか」

それ以上は聞いてこなかったことに安心する

階段を上がる兄

ジッと背中を見つめていたら

「気を落とすな、また買ってやるよ」

そんな優しい声が降ってくるから

涙を耐えるのに必死だった
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