にんじんは甘い、ピーマンは苦い
「…いってきます」

玄関でローファーを履く

これから学校だと考えると、よりだるくなる

玄関を開けて、一番に目に飛び込んできたのは

黒い車

あれは確か、兄の車だ

「おい、乗れ」

横を通り過ぎようとした私に、乗れと促す兄

「え?」

なぜ、そんなことを言うのか理解出来ない

「…お前、熱あるんだろ」

確かに熱はある

ふらふらもする

「でもっ」

「でもじゃねぇ、心配なんだよ
送らせろ」
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