にんじんは甘い、ピーマンは苦い
「夏菜ちゃん」

聞き覚えのある声が耳に届く

振り返れば

後ろのドアから教室に入ってくる、昨日の男

廊下側の一番後ろの席の私は、かなり見つけやすかっただろう

「あ、昨日は…」

席を立ち、頭を下げようとしたが、体は悲鳴をあげていた

ぐにゃりと視界は歪む

「きゃっ」

体が言う事を聞かず、体は傾く

「夏菜!」
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