にんじんは甘い、ピーマンは苦い
どれくらい経っただろうか

真っ暗だった空は、だんだんと明るくなってきた

手術中のライトが消える

ガラガラと中から出てきたなつ

「一命は取り留めました
麻酔が切れたら目が覚めます
大丈夫ですよ、お母さん
安心してください」

優しそうな男の人は、そう言った

母さんは、その場に泣き崩れた

それは、嬉し泣きのように思えた

俺の頬にも、生暖かいモノが流れたような気がする
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