にんじんは甘い、ピーマンは苦い
小さい頃からずっと気になっていた額にある傷跡は、この事故のせいだった

「思い出したんだな」

出会った時より砕けた口調になった翠は

私と翠、私の部屋で2人きりになったら口を開いた

さっきまでは、ずっと黙ってたのに

「ねぇ、傷跡どうしよう…」

リビングでは、言えなかった

「何だよ」

「もう、お嫁に行けない…っ」

くだらないって思うかもしれない

それでも、私にとっては大事な問題

目に涙を溜めながら、翠を見つめた
< 70 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop