ラヴ・ラヴァーズ・キス
「えっと…これには深い理由がありまして…」

彼は、ふーんと呟き言う。

「深い理由…ね。」

電車はいつの間にか次の駅にたどり着き、扉が開くと彼もきびすを返した。

「じゃあ、次はその深い理由を詳しく話してもらうからな。」

ええ…??

次…って…

「あ…」

私が何か言葉を発する前に、彼は姿を消してしまった。

向かいのホームにいるはずの彼

が、

何故か同じ電車に乗っていてーーー

そして

次に会ったら…って、ことは…

私、嫌われてはいないんじゃない?

勝手で自分に都合の良い妄想を抱くくらいは、罪じゃないよね…?

ドキドキと、胸が高鳴る。

新しい家族のことなんてどうでもいい。

彼と、話ができたーー。

幸せすぎて、次が…

「どうしよ…」

走り出した電車の中で、私は小さく呟いた。
< 17 / 46 >

この作品をシェア

pagetop