ラヴ・ラヴァーズ・キス
けど・・・

違った。

私の手は、義父の傍を通り抜け、その腕の中にすっぽりと収められた。

!!!???

「こんな可愛い娘ができて、僕は何て幸せ者なんだ。」

頭上でそう撫でるような声がした。

いやいやいや!

待て、何だこの過剰なスキンシップは!

ちょっと、お母さんも止めてよ!

「あ、あの・・・っ。」

困り声+焦り声でそう呻くように声を上げると、義父はそっと腕を開放し

私を見つめて微笑んだ。

「さぁ、息子たちも首を長くして待っているよ。」

そう言って、母をエスコートしつつ、私の腕をとる。

ええっと・・・

こんな格式あるレストランに、まず来ること自体が珍しい。

そのうえ、ウチは長く母子家庭だった。

中学を卒業してからは、高校も大学も女子校だったし会社も男子社員数ほぼ0の企業。

だから、男の人に対する免疫もほぼ皆無。

こんな私が、こんな華麗なエスコートやらスキンシップやらをされて

・・・

「私のダーリンに惚れちゃいやよ?」

母が、私の耳元でそっと囁いた。

「んなっ!」
< 19 / 46 >

この作品をシェア

pagetop