ラヴ・ラヴァーズ・キス
第1章「家族」
私の家族構成は、至極簡単。

母ひとり子ひとり。

父は、私が10才の時に死んだ。

母が言うには、仕事中に高いところから足を滑らせて落ちたんだそうだ。

それから、17年間、母は女手ひとつで私を育ててくれた。

私は、16歳になった途端、アルバイトを始めたけれど、生活は苦しいものだった。

だから、早く母に楽な生活をさせてあげたいと思っていた。

できれば、私の手で。

だから、一生懸命勉強して優良企業に就職もした。

就職から5年目、お給料もボーナスも安定してきて、これから…って時だったのに、トンビに油揚げ攫われるとは、まさにこの事だ。
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