腐れ縁の悪友と元よわむしクン。

「皆さん、静かにしてください。」


入ってきたのはこのクラスの担任の先生だった。

えっと、誰だ?

…あっ。

あの面倒臭そうな美形スーツ先生だ!

なんだ担任だったのか。

少しがっかりである。

ほかの女子は嬉しそうに笑顔になっている
が、あまり話しにくそうで嫌だ。

こうもっと、マッチョで熱い先生を…!

今は普通の顔をしているが無表情だ。


「1年8組の担任の熊取谷諒飛(シズヤアサヒ)と言います。1年間宜しくお願いします。」


そう言ってペコ、と頭を下げる。

何だか難しい名前だな。

美形が無表情って、改めて怖いと思う。


「これから、出席をとりますので名前を呼ばれたら返事をして下さい。」


敬語キャラか。

執事系…!なんて言って周りの女子が盛り上がっている。

そんなことは気にもとめずに、出席簿を出して名前を読み上げていく先生。

サバサバしてんなぁ…。


「…鎖杏。藤野鎖杏!」


すごい視線を感じると思ったら名前を呼ばれていたらしい。

先生の方を見ると明らか睨まれていた。


「は、はい。」

「まったく。」


フゥ、とため息をついて更に名前を読んでいく。

こ、こええええええ

翔がふと目に入った。

…あいつ、笑ってやがる。

覚えてろよ。
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