腐れ縁の悪友と元よわむしクン。
「じゃあ、次の時間から自己紹介をしますので、何を言うか考えておいてください。私は必要な書類を取りに行ってきますので。」
トントンと持っている書類を机で整えて、先生は最後まで無表情のまま教室を出ていった。
途端に教室がうるさくなった。
あぁ、翔の話題か。
翔の後ろの席の男子やらが話し掛けている。
こりゃここでも人気者になりそうだ。
「…ねぇ」
「…ねぇ」
「…ねぇ」
「えっ!?」
前の席の女の子が話し掛けて来た。
びっくりして少し大きな声を出してしまった。
ど、どどどどどうしよう。
「藤野…さん?」
「…ウス」
名前を覚えていてくれたなんて感激。
しかし無愛想な態度しかできない。
クソッなんでコミュ障なんだよ私!
「ブッ、ウスって男じゃないんだからさ」
女の子は吹き出して笑っている。
…え、なんて答えればいいの。
「…ゴ、ゴメンナサイ」
「なんで謝るww朝はあんなに元気だったのに」
「…ゲンキ?」
「桜蹴散らしてたじゃん、あの男子と」
「うおおおおおぁぁあ!?」
見られてた!
慌ててガタッと椅子から立ち上がる。
周りの視線が気になったが、それぞれ話をしていて、こちらには気づかなかったようだ。
…いや見てたのか!?
「ゴメンナサイ」
「しかも楽しそうに話してたよね」
「イエメッソウモゴザイマセン」
ビクビクと震えながら答える。
恨まれるかな…?
「え…まさか、藤野さんってコミュ障?全部片言だよね」
しーん。
「…」
「ぶふぉwwwww」
「…」
ケラケラと笑い出す女の子。
酷い。気にしてるのに。