腐れ縁の悪友と元よわむしクン。

「…つ、ついに教室に来た…」

「スウウウウハァァアスウウウハァァ」

「うるせえ鎖杏」

「スウウウウハァァアスウウウハァァ」

「やめろ」

「はい」


緊張しすぎて深呼吸していたら翔に止められた。

いやいや、私コイツ以外友達いなくて…。

コミュ障というか…そうなんですよ慣れるまでが大変で、慣れたら翔みたいに接せれるんですが

「よろしくね☆愛って呼んで♪」
「うんっ愛♡」

とかできないわけで。

(ヾノ・ω・`)

中学時代もこんなんだったので

「藤野さんっていっつも花澤と一緒にいるよね。態度違いすぎ」
「媚売ってるよね」

とか悪口言われてたんだよねぇ。

まあ仕方ない。

翔の方はほかの友達も多くて、人気者だったみたいなんだけど、そういやいつも私と一緒にいてくれてたな…。

見直したぞ、翔。


「いやあ、まじごめん」

「急に謝るなよ気持ち悪い」

「酷いな謝ってるのに」

「裏がありそう」

「ドイヒー」


謝ったけれどあまり本気にはしてもらえない。


「とにかく入るぞ」

「そうだな」


ガラッと教室のドアを開ける。

するとほとんどの人が席に座っていて、一気にこちらを見た。

し、視線が…!

あたりはしーんとしていて、妙に気まずい。

ちょ、ちょっと、あれだけみんな元気だったのにこういう時だけ静かってどういうことよ。


「鎖杏、お前の席あそこ。俺こっちだから」

「…おおおおお、おう」


翔はそんなのも気にせず黒板に貼られているクラス座席表をさっさと見て、さっさと座った。

私といえば噛みまくりである。

翔…尊敬するわ。

私の席は…そこって言われてたから…。

廊下側の一番端の後ろか。

うん、まあまあだな。

翔は真ん中の真ん中的なところだ。

とりあえず周りの視線を受けながら座る。

…ふぅ。
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