コイビト以上?





しばらく黙って聞いていたお父さん


反対は…しないと思うけど




やっぱどこか寂しそう





「お父さん…返事を頂きたいのですが…」

「あ、すまん菜成
聞いてはいたから覚悟はしてたけど
いざこうちゃんと直接言われると」




「ふふっお父さんずっと心配して眠れなかったのよねえ」

「え?」

「菜成が彼氏を連れてくるなんて初めてだから
ある程度莢菜で免疫は出来てるけど、莢菜と菜成は違うからね」

「そりゃそうだよ…大事な娘なんだから…」






私のことも

莢菜のことも

お母さんのこも



家族を愛してくれているから


だからこそ心配もある




けどそれを恥ずかしくてなかなか言えないお父さん




私はそんなお父さんが大好きなんだ…





「葵くんだっけ?」

「あ、はい」

「君は毎朝僕なんかにお仕事頑張ってくださいとか、おはようございます、とか髪切りました?とかネクタイ新しいやつですね?とか些細なことにも気が効く子だなと思ってたよ
こんなヨレヨレのサラリーマンに気を遣ってくれる優しい子なんだと

そんな子だから、菜成もきっと君を選んだのかな

まだ君のことは表面上でしか知らないからこのタイミングで同棲の許しを出すのも親として悩んだけど

一つだけ約束して欲しいんだ」








いつも優しくて穏やかで


いつも笑顔のお父さん



そんなお父さんが私のために

こんな真剣な表情をしている





見た事ないよ、こんな父親してるお父さん




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