Hazy moon night
たまにピアノを弾いているハヤテを見て“勘違い”をした女の子が、後日、教室にその姿を見に来る事も何度かあったが、普段のその地味で目立たない姿に落胆して去って行くのが、お決まりのパターンになっていた。

ピアノを弾くのは嫌いじゃないし、むしろ好きなのだが、ピアノ以外になんの取り柄もない地味で目立たない自分の事が、ハヤテは嫌いだった。


(ヘンに期待されても困るんだよな…。これがオレなんだからしょうがないじゃん。むしろ、オレ自身が一番残念だと思ってるよ!)

ハヤテは合唱部の部員たちの落胆ぶりに心の中でため息をつきながら、その日の練習での伴奏者としての役目を淡々とこなした。





< 13 / 651 >

この作品をシェア

pagetop