Hazy moon night
「寄り付かないわけじゃないよ。本当に忙しくて帰れないだけだ。」

ハヤテは、単身赴任の父親に愛人がいる、と言っていたメグミの言葉を思い出した。

「ホントに?愛人とかいるんじゃないの?」

「バカ言うなよ。いるわけないだろう。」

「ふーん…。」

(父さんにはいないのか。まぁ、いたとしても“いるよ”とは言わないよな。)

グラスを傾けながら、ハヤテは普段あまり一緒にいる事のない父親の横顔を、なんとなく眺めた。

(いい機会だから、仕事の話とか聞いてみようかな?)


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