Hazy moon night
「たいしたケガではなさそうだけど、右手らしいんだよな。しばらくピアノ弾けないって。」

「そりゃ大変だ。」

その会話を聞きながら黙ってビールを飲んでいたハヤテの顔を、和泉が覗き込んだ。

「えっと…何か?」

「オマエ弾いてやれば?ピアノ弾けんだろ?」

「ハイ?!」

唐突な和泉の言葉に、ハヤテは思わずむせそうになった。

「おっ、それいいな。マスター、うちの息子に弾かせてやってよ。」

そして父親は嬉しそうにハヤテの背中を叩きながら、マスターに声を掛けた。


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