Hazy moon night
ハヤテは、メグミと付き合っている事はあえて伏せておこうと、曖昧に言葉を濁す。

「ピアノ?ああ…そう言えば、川嶋が入学してすぐの頃に聞かれたな、澤口の事。」

「そうらしいですね。」

浅井は何か少し考えるようなそぶりを見せてから、ハヤテの肩を軽く叩いた。

「ふーん…そうか…。いや、邪魔したな。白川先生が知り合いに次の伴奏者の件、お願いしてるみたいだから、もうしばらくの間頼むな。」

「ハイ。」

浅井が音楽室を去った後、ハヤテは一人で先に帰ってしまったメグミの事が気になり、上着のポケットからスマホを取り出した。

スマホにはメグミからの着信も、メールの受信もなかった。

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