Hazy moon night
タカマとヒロは笑いながらお酒を飲んで、ステージに視線を向けた。

「ハヤテはこの曲が好きなんだな。」

タカマが呟くと、ヒロは唇の左端を少し上げてニヤリと笑う。

「いやぁ…“ハヤテが”ってより、彼女が好きな曲なんだろ。息子の顔見てみな。あれは好きな女に聴かせたくて弾いてる顔よ。」

ヒロの言葉を聞いてタカマは、愛しそうにキーボードの鍵盤の上に指を踊らせるハヤテの、穏やかな顔をマジマジと見た。

「…オレにもあんな時があったな。」

「それにしてもタカさん…ハヤテはアンタにそっくりだよな。」

「だからハヤテの母親は、ハヤテに期待したくてもできないんだ。」

「何、どういう事よ。」

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